アテュ(大アルカナをトートタロットではアテュと呼びます)の説明、簡単な辞書の感じで見てください。(参考文献:『トートの書』アイレスター・クロウリー 榊原宗秀訳『トート・タロット図解』紅王 野中友博、『タロットの教科書』ルナ・マリア、Wikipedia、ストーリーシンボル)
生命の樹、錬金術については、別のページで説明しています。
0 愚者 フールズ・ジャーニー 全てを捨ててゼロに戻る、無=無限

生命の樹:ケテル(セフィロト1)からコクマー(セフィロト2)の小径(path)
惑星:天王星(変化・改革)
エレメント:風(動いたり止まったり)、空
デッキ左下のヘブライ文字はアレフと読みます。アレフは雄牛、男根を表し、アルファベットAの起源になっています。
神の領域、万物の根源を表す、アイン(0)、アイン・ソフ(00)、アイン・ソフ・オウル(000)から降りたエーテルの精霊が表れています。愚者は、デッキ78枚の全てのカードを象徴する始まりでもあり終わりでもあります。
この緑の男はバッカス・ディフェス、ローマ神話のワインの神であり、四大風の神ゼウスでもあります。無我夢中、魔術的、両性愛的、陶酔を表します。
風の黄金色で表されているディオニュソス・ザクレウスの角、その間は白い光の男根で王冠から愚者に注がれる光に溢れています。
春の伝統的な緑色、靴は男根の黄金色、右手には先端に白い角錐がついた神の棒を左手には燃える松かさを持っています。
この両手は植物の成長を表します。
左肩からの紫色の葡萄、臍の緒とも言われますが、四重に彼を取り巻いています。豊穣、優しさ、法悦を表します。
法悦とは、仏の道を聞いて起こる、この上ない喜びであり、この螺旋形の虹色の葡萄の茎は宇宙の姿と言われます。
マウトの禿鷹、イシスor聖母マリアの鳩、神聖な鷲、蝶、双子の蛇、翼のついた球体、一にして三の花は中央の双子の童子によって、響き合い、強められています。
彼は、恐怖を表す虎に取り合っていないので何のパワーも与えていません。蓮の茎の見えるナイル河の鰐は、死と誕生、創造と破壊の対の世界を表します。
この小宇宙の中心が彼の下腹部チャクラの太陽となります。
○キーワード、解釈
自由、自発性、霊的な上昇、潜在力、可能性、純粋さ、直感力、大胆、冒険、確立されていない自我、奇行、愚行、狂気、無責任、未成熟、無鉄砲、
完全なる無垢と自由(束縛から離れる、神聖な愚行)、全てのカードの象徴する始まりであり終わり、開運カード
➕前進する勇気、独創性が成功の鍵、無邪気さ、無欲さからの周囲のバックアップ、人生における重要な岐路
➖不注意、投げやりな態度が原因となり失敗、無責任、無計画からのしっぺ返し、根気のなさが招く
1魔導師 思考を行動に移行せよ! 意志を明確にし、わかりやすく伝える

生命の樹:ケテル(セフィロト1)からビナー(セフィロト3)の小径(path)
惑星:水星(人間関係、外交、通信)
エレメント:風(動いたり止まったり)、地
デッキ左下のヘブライ文字はベスと読み家を表します。アルファベットBの起源になっています。
この魔術師は、熟練した魔術師なので、区別して魔導師とされています。
魔導師は黄金色に輝き、彼自身がエネルギーを放射しています。水星のエネルギーも応援し、智慧、意志、言葉、運動、不変、真理を象徴しています。 水星が太陽の性質を持っているので、黄金色=男根も表す点で、続く女司祭に対応するカードとなります。
彼は、ローマ神のメリクリウス、ギリシャ神のメリウスであり、不正手段を使ってでも目的を達成しようとするローマ神メリクリウス(窃盗の神)の偉大な錬金術師の悪賢さも表しています。よって、二重性があり、真実と虚偽、智慧と愚かさの両方を表すのです。
両端に握りがついた魔法の棒は、電気の両極を表し、首領達人のワンド(カドゥケスの杖)を支えとして、彼は、は宇宙を背にして立っています。一本足で立っている姿は瞑想のポーズになりますね。
左手にパピルス、右手に尖筆を持っており智慧と言葉を象形文字で伝え、神の働きを記録します。しかし、言葉は曖昧、虚偽の始まり「表明には幻想が含まれる」とクロウリーは表現しています。
祭壇の上の武器、棒、杯、短剣(ダガー)、硬貨は魔術的四大武器になります。
下方にいるハヌマンはヒンズー教の猿の神で、メリクリウスの影です。
翼の卵は更なる高い次元の誕生の象徴です。
○キーワード、解釈
行為とコミュニケーション、器用さ、チャンス、知性、オカルトについての知識とスキル、メッセージ、詐欺、窃盗、ペテン、
➕創造的エネルギー、何事にもマルチな才能、華やかな雰囲気で周囲から注目
➖不注意な言動が失敗の原因、調子に乗りすぎる、その場の気分によって言動がコロコロ変わる
2女司祭 動と静をあわせもつ銀の星の女司祭

生命の樹:ケテル (セフィロト1)からティファレト(セフィロト6)の小径(path)
惑星:月(直観、精神性、家族、雰囲気) 星座:蟹座
エレメント:水
デッキ左下のヘブライ文字はギメルと読み駱駝(ラクダ)を表します。アルファベットのCやGの起源となっています。駱駝は受け取った啓示を砂漠の大海を押し渡って運ぶ船であることを意味します。
彼女は、永遠の処女イシスの最も精神的な姿であり、魔導師の動とは対照的に静を表しています。彼女は、直観、霊感に優れていますが、生命の樹のケテル からティファレトに向かう小径になるので、隠されたセフィロト、ダアト(知識)を通りますから、知識も兼ね備えています。同時にギリシャ神話のアルテミス、豊穣の女神でもあります。
彼女は、光を発するヴェールを身につけていて、光、光の実質、光の魂そのものです。
両膝の上のアルテミスの楽器で、楽の音で獲物を魅惑して狩りをします。この楽器から、このデッキは、芸術、音楽などの理解、才能を表すことがあります。
天空からの啓示を受け取るアンテナのように、彼女の上半身は開かれています。下半身はどっしりとしており、受け取った啓示を下に流出させる光の流れがあります。
下部の渦巻、結晶、種子は生命の始まりを意味し、果実、花は啓示の現実的な顕現です。顕現とは、下位からの到達の方法を表しており、魂の賢い働きで、まだ、開いていなかったことが開いていく感じです。
イシスの光の柱は生命の樹ケテル (王冠)から発せられており、守護天使の知識と会話を象徴しています。私たちの進化の終着点、人間の行き着く最後の未来まで続く道であります。私たちが守られている光の柱には、不毛な思念が流れ落ち、折れやすくなったりしますが、そう、感じているのは人間側の問題です。光の螺旋の循環は、私たちが砂漠だと感じている道に水をこぼし、砂漠を潤してくれます。砂漠は、灌漑され、あなたの花を咲かす可能性を開かせてくれているのです。
○キーワード、解釈
直観、霊感、知識、純粋、サイキック・パワー、処女性、瞑想、殻を破る、秘教的な知恵、音楽や芸術の才能、情熱に流される、頑固、ディスコミニケーション
➕自分を見つめ直せば新しい可能性が生まれる兆し、直観力や洞察力の鋭さ、知識で重みのある発言、バランスの取れた知性による勝利
➖精神的な不安定さから思慮のない行動に注意、神経質で場の雰囲気に緊張をもたらす、上部ばかり気にして、自惚れて大切なものを見失う
3 女帝 天国への扉が開く、母性的な愛、情緒と感情

生命の樹:コクマー(セフィロト2)からビナー(セフィロト3)の小径(path)
惑星:金星
エレメント:風、地
デッキ左下のヘブライ文字はダレスと読み、doorのDの起源になっています。
女帝は、旅人を天へ導く扉であり、父と母、夫と妻を繋ぐ小径になっています。コクマーはデッキの全てのナイト(伝統的タロットではキング)を表し、ビナーは全てのクイーンを表すので、この2つを繋ぐ小径の女帝はその役割になっています。トートタロットでは錬金術は外せない要素ですが、彼女は、女司祭=水銀と次のデッキ、皇帝=硫黄を混ぜ合わせることができる塩の役割でもあるのです。また、地母神デメテルでもあり、大地の豊穣と母性を表します。
クロウリーは、彼女はヴェールを脱いだイシスであると表現しています。処女性ではなく、官能と母性なんですね。彼女が座っている玉座の背もたれが青は、女性的な流体の水を表しています。
右手のブルー・ロータスは、受動の印です。衣にはミツバチが描かれ、黄道十二宮のベルトを締めています。このデッキには、鳥が描かれていますが、雀(スズメ)は感受性、鳩は生と向き合うことを示しています。ペリカンは自分の血を餌としてヒナに与えていますが、母性そのものの象徴です。盾に描かれているのは錬金術の白鷹です。次の皇帝のデッキには違う鷹が描かれています。
○キーワード、解釈
生命力、繁栄、妊娠と出産、女性性、生産性、美しさ、母性、豊穣、結婚、浪費、依存、独断
➕幸運と成功はすぐ近く、豊かに包み込むような愛情、安定、リラックスできるような居心地の良い環境、努力に大して繁栄と豊穣がもたらされる
➖落ち着いて善後策を考えること、自己主張が強く、強引で空気読めない、でしゃばりで押し付けがましく、お節介による迷惑、依存しすぎや頼りにされすぎることから破綻してしまう
4 皇帝 燃えるような宇宙のエネルギー、男性性、父の力、生物の根源

生命の樹:コクマー(セフィロト2)からティファレト(セフィロト6)の小径(path)
惑星:火星 星座:牡羊座(個人的、先駆者的、情熱的)
エレメント:火
デッキ左下のヘブライ文字はツァダイと読み、釣り針を表します。アルファベットSの起源になっています。
皇帝の背後に降り注ぐ、白い光、コクマーの創造の智慧がティファレトの組織された人間に及びます。牡羊座はリーダーシップを表し、さらに火星の支配を受けて、最も物資的な形をとったエネルギーが権威の概念と合わさっています。
皇帝は、冠をいただき、マルタ十字のついた宝珠、王尺を持ち玉座に座っています。彼のエネルギーが成功をもたらし、彼の政府がつくられたことを告げています。玉座の柱頭は、ヒマラヤの野生の牡羊の頭です。これは、勇敢、孤高の象徴です。足元にうずくまっている子羊と旗が描かれていますね。統治を意味しているのですが、飼い慣らされると、御しやすく、臆病になり、肉づきの良い獣に成り下がってしまうことを表しています。
錬金術的には、水銀の女司祭、塩の女帝、硫黄の皇帝の三要素が連続しています。彼の頭と両腕は、三角形を作り、下の方で組んだ足が十字を表します。この形は錬金術の硫黄の象徴です。女帝のカードとは全く対照的な男性性、父性となります。盾に描かれた赤い双頭の鷲は、錬金樹では金を表し、女帝の白鷲が銀を表していたのとまた対になっています。
○キーワード、解釈
威厳、リーダー、勇気、安定、権力、独立心、社会性、責任感、父性、闘争心、支配、勢力、短期決戦
➕しっかり考えを巡らせて、積極的に動く、自分の力で欲しいものを勝ち取る、意欲的に困難に立ち向かう、周囲を味方につけて、目標達成を目指す
➖冷静に考えたうえで、実利を優先する、感情的になると、周囲、特に同性と衝突しやすい、頑固、融通が利かず、周囲を振り回す、いつまでも権力にしがみつき、人に道を譲らない
5 神官 神聖なる智慧、小宇宙と大宇宙の統合

生命の樹:コクマー(セフィロト2)からケセド(セフィロト4)への小径(path)
星座:牡牛座(智慧深さ、周到さ、頑強さ)
エレメント:地
デッキ左下のヘブライ文字はヴァウは釘という意味で、アルファベットのFやVの起源です。
この釘はデッキ上方の出窓を打ち付けるために使われています。牡牛座の影響を受けているため、彼の聖座は、雄牛と象でできています。象も牡牛座に属するんですよ。神官と聖座は万物の合一を表す六芒星、中心には童子の姿が五芒星を形作り、神と人を結ぶ、大宇宙と小宇宙を結んでいることを意味しています。神官の頭の後ろにある白い花弁も五枚です。
クロウリーは五芒星の童子をホルス(エジプト神話に出てくる天空神、オシリスとイシスの息子)であると言っています。神官自身がオシリス、前にたつ女性がイシス、紺色の女とも言われています。イシス、オシリスが二千年ずつを支配し、今はホルスのアイオーン(永劫)です。アイオーンとは、古代ギリシャ語である期間の時間を指し、時代や世紀、人の生涯というような意味です。神官のもつ尺についた三つの輪は、イシス、オシリス、ホルスの3つのアイオーンを表しています。
カードの四隅にはケルビムの四聖獣がいます。日本で言えば四天王です。デッキ右下の獅子は獅子座を表す火の番人、左下の牛は牡牛座を表す土の番人、右上の人の顔をした水瓶座は風の番人、左上の鷲は蠍座を表す水の番人になります。しかし、光が満ちておらず、形骸化して、形式的な知識の空虚さを表しています。神官は良き相談相手、導き手、案内人でありますが、『案内人は地図をくれるだけ』。白い花弁の周りを変容の蛇が囲んでいますが、体験を通しての学びでどう変われるかを問うています。
○キーワード、解釈
神聖な智慧、霊感、目上からの助力、体験的な学び、知識、組織、忍耐、自発的に召喚されたオカルト的能力、秩序、教育、道徳、しきたり、慈悲、モラル、社会性、誠実さ、許容、骨の折れる仕事、自己満足、保守、頑固
➕自分で自分を認めることの大切さを暗示、信頼できる有効な助言を得られる、頼りになる人物の庇護により安心感が持てる、適度な距離を保ちながらの交流が大切
➖自分に正直になることが大切、頭ごなしの役立たずなアドバイス、メンツにこだわり、プライドの高さが邪魔をする、杓子定規な対応で柔軟性にかける
6 恋人(兄弟)直観を信じて、分析と統合

生命の樹:ビナー(セフィロト3)からティファレト(セフィロト6)
デッキ左下のヘブライ文字は、ザインと読み、剣を表します。剣は分割の道具となります。ザインはアルファベットのZの起源となります。
星座:双子座(論理的、好奇心の強さ、移り気、社交的)
エレメント:風
この恋人のデッキは伝統的なタロットデッキとは、違う側面があり、それは重要でもあります。二重性を持っており、意味も多岐に分かれています。まず、双子座から、白人と黒人の双生児が描かれています。クロウリーはこのデッキを、兄弟と呼ぶと言っています。白人がアベル、アダムとイブの子供、黒人がカイン、蛇とイブの子供です。神に捧げる供物をめぐって、カインはアベルを殺してしまいます。歴史上、最初の殺人と言われています。
デッキの上部には二人の裸婦が描かれています。左上はリリス、アダムの前妻、右上はイブです。イブには蛇が巻きついており、背後にはその口が開かれています。
フードを被り、手を伸ばしているのはデッキ9の隠者です。ザインの文字通り、剣のアーチによって縁取られた礼拝堂での結婚式が描かれています、黒人のムーア人の王と銀の王冠を被った白人の女王、二人の対比は如実に表現されています。王は、大陽・火・風・酸・赤いライオン、女王は月・水・地・アルカリ・白い鷲です。フードの男は炭素の変幻自在的な要素で有機的生命の発生源とされています。
科学で「物は何からできているか?」という疑問に対し、答えが出ると、次は「それを、我々の役に立つように再構成するにはどうしたらいいか?」と考えます。タロットも同じようなやり方です。クロウリーは『分解し、しかして(そうして)融合せよ』と言っています。分析と統合は、錬金術で賢者の石を作るために欠かせない工程です。
この結婚式は、錬金術の結婚式であり、フードの男はその祝福役なのです。
翼のついたオルフェウスの卵は男女の原理に基づいて生まれる生命の本質を表しており、王のロープの紫の蛇や女王のマントの装飾の蜜蜂にもそれが表れています。
キューピットは黄金色の翼があり、目隠しをしています。孤独の苦しみから誰とでも一体になりたいという無意識の意志の象徴です。
6は、調和とバランスを示しますが、分析と統合を繰り返し、自分の宇宙を創造するという感じです。
○キーワード、解釈
愛、霊感、直観に心を開放する、一目惚れ、あらゆる次元と形の愛、教養、魅惑、霊感、知的なひらめき、選択による合一、相反するものの合一、契約、和解、結婚、恋愛の成就、子供っぽさ、自己否定、決断力のなさ、上滑りな関係
➕不確実な未来と選択の重要性、共同作業によって得られる成功や幸せ、互いに惹かれ合い、愛し合う可能性
➖疑心暗鬼が原因で後悔への警告、謝った選択によって苦しみが生まれる、相手を信じることができず、疑念に包まれる、ライバルや邪魔者の出現による愛情関係の破綻
7 戦車 光の支配者、水のパワーの子ども、パワー

生命の樹:ビナー(セフィロト3)からケブラー(セフィロト5)の小径(path)
デッキ下のヘブライ文字は、ケスと読み柵を表します。
星座:蟹座(保護的、敏感さ、愛情深さ)
エレメント:水
蟹座は水の活動宮、能動的、積極的なエネルギーを表します。
ビナーの夜の空の色を背景に、テトラグラマトン(旧約聖書、新約聖書における唯一神の名)の支配する宇宙の四本の赤い柱があります。ケルビムの四聖獣が戦車を率いています。四つのケルプ(智天使)は雄牛、ライオン、鷲、人間からなりますが、頭と胴体がそれぞれに入れ替わっています。それは、パワーを手にする中で起こるエネルギーの入れ替えを表します。
戦車の御者は、琥珀色の甲冑を身につけています。彼は、座っているだけで、指揮をとる必要はありません。進行は完全に釣り合っており、彼の唯一の役割は聖杯を捧げ持つことだけです。甲冑には、10個のアッシャーの星がついており、それは母から受け継いだ天上の露です。聖杯は純粋なアメジストで、中央には血があり、闇の中の光に精神的生命を表しています。ケブラーの色である赤いマント、真紅の車輪は回転する力を表しています。
甲の目庇(まびさし)は、しっかりと下げられています。クロウリーはその顔を見た者が、死ぬからと言っています。身体のどの部分も露出していないのもそのせいです。
彼は、征服者であり、世襲制の王ではありません。土星を表すビナーから火星のケブラーにおける小径に配置されているのは、困難を克服した勝利や栄光を示しているのです。
○ キーワード、解釈
凱旋、征服、勝利、希望、作戦、克服、前進、勇気ある行動、強い意志、伝統的思想維持への暴力、服従、事故
➕守りの姿勢より、攻めの姿勢が道を拓く兆し、障害をものともせずに、乗り越えていくパワーがある、自分の考えを主張し、思い通り物事を動かす、着実に歩を進め、やがては勝利を手にする
➖計画の見直しや的確な状況判断が要になる、目標を見失ってやる気をなくしてしまう、突然おとずれる計画の挫折や頓挫、周囲からのアドバイスを無視して、空回りしてしまう
8 調整(正義)真理の支配者の娘、バランスの保持者、見守ること

生命の樹:ゲブラー(セフィロト5)からティファレト(セフィロト6)の小径(path)
星座:天秤座(交渉上手、公正さ、開明的、魅力的)
エレメント:風
デッキ左下のヘブライ文字は、ラメドと読み、牛追い棒を意味します。アルファベットのLの起源です。
この女神は、エジプト正義の女神、アマトです。0愚者のパートナーです。クロウリーによれば、1904年、アイワス(聖守護天使)と呼ばれる存在から『法の書』を授かり、それをテレマ(セレマ)と呼ぶ宗教、哲学体系の土台としました。この『法の書』では、デッキ0のアレフとデッキ8のラメドは最も重要であります。
アマトは仮面をつけ、駝鳥の羽の冠をかぶっています。この羽は真理の象徴で、死者の魂を測るため、天秤の皿の一方に置かれた心臓が羽根より重い場合は、過去に悪行を犯したとわかりました。因果応報です。
彼女は、魔導師の剣(男根に似ている)を持ち、爪先立ちで微妙なバランスを保っています。玉座は、角錐と球体でできていますが、光と闇の均衡した球体が他にもあります。宇宙の不均衡の要素を全て支配しているそんな満足感が彼女にはあるとクロウリーは言っています。
『法の書』にある「愛は法なり、意志下の愛こそが」を絵で表したようなデッキ。全ての行為の長所を評価し、正確な償いを要求しています。
原因の鎖に繋がれた天秤の左側球体には、アルファ(始まり)が、右側球体には、オメガ(終わり)が書かれ、完全なバランスをとっています。
恋愛が始まると楽しいですが、恐れも生じます。法則は常に働いています。力をバランスさせ、2つの力をうまく調整し制御できると、素晴らしい推進力で現実が良い方向へ進む感じです。
○キーワード、解釈
公正、公平、調整、バランス、見守る、適正、結婚、満足、法則、裁判への出頭、宙に浮いた決断
➕偏見や誤解のない、レベラルな考え方、感情を交えず、物事が正常におごそかに進行する
➖急いで動くより、時期を見極めて、格差を感じる不釣り合いな関係、不平等、不公平がもたらす感情のもつれやトラブル
9 隠者 光の声の賢者、神の預言者

生命の樹:ケセド(セフィロト4)からティファレト(セフィロト6)の小径(path)
星座:乙女座(有能、謙虚、実践的)
エレメント:地
デッキ左下のヘブライ文字はヨッドと読み、意味は手です。アルファベットのY、Jの起源になります。ヨッドは神聖四文字の最初の文字で、父の象徴です。
父とは、水星の最高の姿を表し、全世界の創造者であるロゴスを指します。その水星が支配するのは乙女座、この隠者は1の魔導師メリクリウスのもう一つの姿です。
下方から上昇する精子は、創造の象徴です。乙女座の完全無欠を求める神経質さがあり、メリクリウスは自己の内側と向き合います。修行です。それは、新たな創造の為であり、隠者の視線の先には、オルフェウルスの卵、宇宙のエネルギーがあります。小麦畑は乙女座の肥沃さを表しています。乙女座は処女宮で、大地を表します。
付き添う地獄の番犬、ケルペロスは、内観し自分の深みを学ぶことを象徴しています。ランプの光以外、デッキには明るさはありませんが、外界には魅力がないことを示しています。
年長者の導きに従う意味もあります。ケセドの慈悲によってティファレトの美の合一に到るという解釈です。
○ キーワード、解釈
引き篭もった賢者、内側からの光、神聖的な智慧、思慮分別、精神的自由、哲学的、達成感、用意周到、内省さ、孤独、隠遁生活、今あることから退く
➕自問自答を繰り返し、道を究めるべき時、結論を急がず、慎重に行動することの大切さ、今までの言動を振り返るべき時期の到来
➖相手を尊重する姿勢をもつべき、頑固、神経質になって、細部にこだわりすぎることへの警告、経験不足からの失敗、上から目線で、周囲からの賛同を得られない
10 運命 流れと共にあること、変化の兆し

生命の樹:ケセド(セフィロト4)からネツァク(セフィロ7)の小径(path)
惑星:木星(個人的な成長、大志、自由への欲求)
エレメント:火、水
デッキ左下のヘブライ文字は、カフと読み掌を表します。アルファベットKの起源です。手相術では、掌の線から運勢を読みますね。
このデッキの七大惑星からの稲妻と三角形の中心から渦巻くエネルギーの中で回り続ける運命の輪は、絶えず変化していく宇宙を表しています。輝く星もあれば暗い星もあり、バランスよく星を散りばめた天空です。
車輪の上には三個の象が乗っています。ギリシャ神・エジプト神で言えば、スフィンクス、ヘルマニュベス、テュフォンであり、ヒンズー教では、創造のブラフマー、維持のヴィシュヌ、破壊のシヴァでもあります。錬金術の基本要素でもある硫黄、塩、水銀も表します。
クロウリーは、これらは、ヒンズー哲学グナの概念に対応すると言っています。3つのグナ、サットブァ:平静、智慧、明白、均整 ラジャス:エネルギー、火、興奮、輝き、不安 タマス:闇、不活性、死、無視などを表します。『グナは循環する』という格言通りこのデッキは、運命の循環、分岐点、転換点を表します。
占いというのは不調和な状態で相談に来られますので、流れが変われば、調和の取れた状態、良い変化を意味します。
車輪はシバの目を表し、目が開くと宇宙は絶滅すると言われます。
○キーワード、解釈
幸運、運の変わり目、良い変化、回転、チャンス到来、成功と富、増加、カルマ、避けられない事態
➕行動を起こすことでチャンスや幸運が掴める時期、予想外の嬉しい幸運の訪れ、うまくタイミングを見計って、判断や行動ができる
➖悪い状況も延々とは続かない、その都度ベストを尽くして、変化が早く、ついていけなくなる兆し、すれ違いや失敗が起こりやすい時期
11 欲望、炎の剣の娘、獅子の指導者

生命の樹:ケセド(セフィロト4)からゲブラー(セフィロト5)の小径(path)
星座:獅子座(気前の良さ、快活さ、独創的、高貴さ)
エレメント:火
ヘブライ文字はテトと読み、蛇を表しています。アルファベットTの起源です。
このデッキは、以前は「力」、「剛毅」と呼ばれ、愛による獣性の克服、コントロールを意味しましたが、「欲望」となっています。力は、欲望の開放に作用し、その力を使うことの喜びを表しています。これは、クロウリーの『法の書』の最重要な格言、「汝の欲する事を為せ」を具現化しています。
この獣と女は本来の結婚の行為を表しています。彼女は太陽に余すことなく照らされた月の姿と考えられ、獣とむつまじく一体となっています。獣の背にまたがり、左手に二人の間の情熱の象徴である手綱を持っています。左手には、愛と死の炎に包まれた聖杯を掲げています。
この獣は七つの顔をもつ「ヨハネ黙示録」の666の獣です。クロウリー自身が、マスター・セリオン、獣の王と名乗っており、七つの顔の最下部にある顔はクロウリー当人です。またがる女は、黙示録の紺色の女で、獣の花嫁として、欲望のエネルギーに逆らう事なく身を任せています。
花嫁が右手にもつ聖杯は、火の器に向かって放射状に集まっている獣の十本の角で、世界を破壊し、再建するためにあります。
古い世界の聖人たちがぼんやり力のない顔で見えていますが、新時代によって淘汰された古い宗教や道徳観を表しています。
獅子座は太陽の宮、意味は自分の意志を行使する事です。まさに「汝の欲する事を為せ」です。
○キーワード、解釈
➕エネルギッシュ、強さ、力の発揮、生きるエネルギー、大恋愛、情熱、行動力、持続的な力、自律、諦めず根気よく続けることで良い結果が得られる
➖野生的、抑えがたい欲望、欲望に身を任す、おごった心によって、せっかくの好機を逃してしまう
12 ハングド・マン吊るし人 万能の水の霊、「死に行く神」

生命の樹:ゲブラー(セフィロト5)からホド(セフィロト8)の小径(path)
星座:海王星(神秘主義、共感、慈善、心霊的)
エレメント:水(受容)
デッキ左下のヘブライ文字はメムと読み、水を表します。
このデッキは神オシリスのアイオーン(永劫)の記念碑です。意味は困難や苦しみによる変容を表します。
裸の男は、両脚を組み右脚を曲げて左脚に対して直角になっています。両手を伸ばして正三角形をつくり、それで十字架をいただいた三角形を象徴しています。闇を補うために光が降下する事を表しています。
目、耳、鼻、口は無いのか、閉ざされていて、男の感覚が内に受けられていることを意味しています。手足と頭部先端には緑色の円盤があり、この緑色は金星の色で優雅さを表しています。水面上の空気の色も緑色で、ケテル からの白い光線が放射されています。背景の格子は、社会的因習の融通の効かなさや男の苦悩が強いられたものを表します。
左脚の蛇は、創造者であり、破壊者であり、死の闇の中で、新しい生命として動き始めています。新しい物が古き物の束縛に直面しています。産みの苦しみとしての忍耐や苦難を象徴していますね。
○キーワード、解釈
苦しみ
➕強いられた犠牲による購い、苦悩、苦難、困難や苦しみによる変容、忍耐、手放す、洗礼、答えを出すのが難しく、身動きがとれない、自分の気持ちをセーブした言動で、やがてはうまくいく
➖損失、罰、死、自己中心的な言動は、どんどん自分を不利な立場に追い込む、ダメなものはダメと達観する姿勢も大切
13 死神 大いなる変成の子、死の門の支配者

生命の樹:ティファレト(セフィロト6)からネツァク(セフィロト7)の小径(path)
星座:蠍座(分析的、魅惑的、秘密主義、野心的)
エレメント:水
デッキ左下のヘブライ文字は、ヌンと読み、魚を意味します。アルファベットのNの起源になっています。
死の踊りを繰り広げる大鎌を持った黒い骸骨が描かれています。ヌンの意味どおり、魚と蠍がいます。蠍は、古い自然観察者には、窮地に陥ると自殺する生き物と認識されていました。蠍座は、エロスとタナトス、性と死のサインです。魚は、生き返り、生まれ変わりの教理、象徴です。また、魚座の時代であるキリスト教を象徴し、蘇りを意味します。
骸骨が大鎌を一振りするたびに、泡ができ、固体物質から上方へと別の形、新しい姿をして変わる準備をしています。鷲はフェニックスでもあり、上方への高揚を意味します。
蛇も生と死の主であり、蛇の進み方がそれぞれ生と死と呼ばれます。
つまり、全てが本質的に変化と新生を表すデッキです。錬金術では、変化の過程の中で、腐敗、黒化という過程を経なければなりません。
錬金術では変化の過程の中で腐敗、黒化という過程を経なければなりません。死神は錬金術的な腐敗の過程で、変化のために何かを壊す、終わらせる、手放すという事を意味しています。
○キーワード、解釈
死
➕変化、何かの終わり、手放す、意識の変容、新生と復活
➖外見上の破壊や死、苦難
14 アート 生命の運び手、調整者の娘

生命の樹:ティファレト(セフィロト6)からイエソド(セフィロト9)の小径(path)
星座:射手座(素直さ、外向的、楽観的、哲学的)
エレメント:火
デッキ左下のヘブライ文字はサメフと読み、支え、魚の背骨などを意味し、アルファベットのXの起源となります。
このデッキは、アテュ6恋人の錬金術的結婚の完成を表しています。描かれているのは、狩猟の守護女神ディアーナです。アテュ6の黒と白の人物が合体し単一の両性具有者(男女両性を兼ね備えた存在の事)となっています。赤いライオンは、白色になり大きさ重要度を増しています。白い鷲は、赤色になりやはり大きくなっています。彼の赤い血が、彼女の白いグルテンと入れ替わったのです。
黒と白の釣り合いや交換は、この人物の内部でも完結しています。人物の長衣には蛇とミツバチの刺繍があり、緑色はまさに愚者と同じ、春、植物の成長を象徴します。
錬金術の第一の問題は、金属を植物のように成長させることでした。達人たちは、この正しいやり方は、自然の営みを模倣することだと考えました。互いに矛盾する要素を大釜の中で混ぜ合わせる大きな業(わざ)でした。
大地の豊穣は、雨と太陽からもたらされますが、錬金術的に言えば、火と水の結婚の成果です。彼女の背景の黄金色は、太陽を表し生命の父(蒸留を司る)を象徴します。大釜の蒸気から矢が立ち上り、一筋の光、二条の虹(両性具有者のケープを形作る)が現れています。
太陽の文字はVITRIOL、錬金術の三大要素である硫黄、水銀、塩の均衡のとれた混合です。『大地の内なる領域を調査せよ、汝、浄化により賢者の石を見出すべし』
オルフェスの卵を受精させ、この世に誕生させるがごとく、「真の意志」の径を通って新しい生命体を正しく導く。
大いなる業の成果の精神化が表現されています。
○キーワードと解釈
統合
➕諸力の結合、実現、綿密な計画に基づく行動、準備の末の成功、集中力、芸術、多芸多才
➖八方美人
15 悪魔 物質の門の支配者、時の力の子

生命の樹:ティファレト(セフィロト6)からホド(セフィロト8)の小径(path)
星座:山羊座(思慮深さ、几帳面さ、控え目)
エレメント:土
デッキ左下のヘブライ文字は、アインと読み眼を意味します。アルファベットのOの起源になります。
デッキに描かれたヒマラヤ山羊の額の中央に第3の目が開いています。この山羊はギリシャ神話に登場する牧神パンであります。怪物テューポーンから水に逃れる際に、下半身だけを魚にさせられました。山羊は高山動物であるため、その姿で低きは海底から高きは山の頂上まで世界のあらゆるところに到達できるため、「全て」を意味します。山羊の角の螺旋にも、全てに行き渡るエネルギーがみなぎっています。
キリスト教的な道徳観において、地上の快楽や肉体的な喜びは非難の対象となりました。喜びの神であるパンは、その善なる神の力の反対、闇の力、悪魔とされてしまいました。
生命の樹(男根)の前に立つ山羊の上方には、女性的なヌイト(エジプト神話の天空神)の胴体の輪があります。睾丸には各4人の男女の精子が、天に登る準備をしています。真ん中のカデュセウスの杖は地球の中心へと際限なく下がり、上に飾られた翼のついた球、ホルス、オシリスの双子の蛇は低次と高次の結びつきを示し、それによって可能になる崇高な状態を示しています。
クロウリーは、最も物質的な創造のエネルギーを意味するデッキと表現しています。しきたり、善悪に囚われずに突き進むエネルギー、ありのままの現実を受け入れ、ほくそ笑む山羊が印象的です。
あなたの夢や欲望は真実でしょうか?過去にしがみついてばかりいては幸せを受け取れなくなってしまいます。
今にある喜びに眼を向けてはいかがでしょう。
○キーワード、解釈
現実の受容
➕基本的な現実、あるがままを受け入れる、制限に対抗する、科学知識
➖盲目的衝動、無節操、誘惑、強迫観念、治りにくい病気
16 塔 万能の軍の支配者 戦争

生命の樹:ネツァク(セフィロト7)からホド(セフィロト8)の小径(path)
惑星:火星(争い、行動への衝動、攻撃性、情熱、スポーツ)
エレメント:火、水
デッキ左下のヘブライ文字はペーと読み、口を意味します。アルファベットのPの起源になります。
聖書に出てくるバベルの塔から4体の抜け殻のような人が落ちてきています。もはや必要でなくなった古い精神体、感情体、肉体、魂(霊体)の4つです。上方にある目は悪魔のデッキにも出ていた第三の目的な感覚、ホルスの目ですね。パカっと開いていますが、この目が開かれた時、宇宙は破滅すると言われています。
デッキ右下には、地獄の業火が古い時代遅れの構造を焼き尽くそうとしています。新しいアイオーン、大きな変容のための古い価値観の破壊です。
デッキ右上のライオンの頭を持った蛇はアブラクサスです。イシスと関係深く、選ばれし者を天国に連れて行く存在です。物質と魂、生と死を一つに拡大した意識が後光に象徴されています。
ネツァクとホドを結ぶ横の小径はエゴと神の境界線、エゴが働くとさばかれます。
オリーブを加えた鳩は、混沌と破壊の中でも、その起こっている事を気づきを持って受け入れられる安らぎを得て、自分に優しくあれる事を示唆しています。
○キーワード、解釈
壊せ、その先に未来がある、崩壊
➕大いなる変容、より深い真実への道を作るために、古い自我のパターンが壊れる事、野望、勇気、脱出、新生
➖口論、闘争、計画の失敗、突然の崩壊
17 スター、星 天空の娘、水中の住人 ヌイト

生命の樹:ネツァク(セフィロト7)からイエソド(セフィロト9)の小径(path)
星座:水瓶座(客観的、因習に囚われない、人道主義的)
エレメント:風
天空の女神ヌイトの背景には天球儀があり、そこで7つの光芒を放つのは、金星です。ヌイトは人間の姿で表現されていますが、水瓶座のシンボル、水を運ぶ人です。
彼女の右手には黄金色のカップがあり、頭上高く掲げ、水(ミルク、油、血液とも言える)を自分の頭に注いでいます。存在の無限の可能性を象徴しています。
左手には銀のカップがあり、彼女の生命の不滅の酒(不老不死の飲料、錬金術師の万能薬、神酒)を大地と水の接点に注いでいます。偉大なる海は、右下隅の薔薇で表されています。
雲は彼女の髪で、左上にはベイバロンの星が輝いています。これはクロウリーが首領を努めた「銀の星」団の記号で、精神の光が螺旋状の光線となって放射されています。彼女は、紺色の女であり、デッキ11で現れた娼婦であります。
このデッキのエネルギーは全て螺旋状ですが、これは、アインシュタインが計算によって導き出した宇宙の運動の形であるとクロウリーは述べています。
いらないものは捨ててしまう。直感的な基準で行動しましょうという感じです。
○キーワード、解釈
信頼
➕自己信頼、希望、芸術、洞察力、快復力、奇跡的な救い、博愛、解放、あっけらかん、自然体
➖夢見がち、失望、無駄遣い
18 月 干満の支配者、万能主の孫

生命の樹:ネツァク(セフィロト7)からマルクト(セフィロト10)の小径(path)
星座:魚座(冬の終わり、創造力の豊さ、敏感さ、精神的、理想主義的)
エレメント:水
デッキ左下のヘブライ文字は、クォフと読み、針の穴、後頭部を表します。アルファベットのQの起源となります。
このデッキは真夜中を表しています。次に続く太陽まで、もう少し。すぐそばまで、希望が来ているのです。前代のアイオーンでは、太陽は冬からだけでなく、夜からの復活も意味していました。真夜中には、明日の芽生えが潜んでいます。
水底には聖なる甲虫、ケフラが太陽の円盤を挟んだ姿を見せています。水面上の光景は、不吉で不気味、血の混じったリンパ液が流れ、不純物を含んだちがヨッド(手)の文字の形で月から滴り落ちています。
月は満ちては欠けますが、それは不安定さを象徴しています。欠け行く月や毒を流したような闇は、光が復活する素地を表しています。
丘の上の黒い塔は、謎、戦慄、恐怖を象徴しています。そこは、死の入り口でもあり生の入り口でもあります。冥界の神、黄泉の国の番人、エジプト神、アヌビスがいるのですが、その神を見たことがない、また、名前を知らない者が来たら、ジャッカル神ケムが襲い掛かろうとアヌビスの足元で見張っています。
自分の知らない自分とも向き合う時間になります。
○キーワード、解釈
未知
➕ 無意識、不可知、神秘的、希望はもうそこまで来ている、重要、幻影
➖ 錯覚、ヒステリー、狂気、詐欺、嘘、秘密、戸惑い、抵抗勢力
19 太陽 世界の火の支配者、光、生命、自由

生命の樹:ホド(セフィロト8)からマルクト(セフィロト10)の小径(path)
エレメント:火
ヘブライ文字はレシュと読み、頭を意味します。アルファベットRの起源となっています。占星学的に太陽そのもので、主体的な意志を表しています。
ヘル=ラ=ハは新しい時代の主が人類に太陽として顕現する際の精神的、道徳的、物質的諸相を表しています。光、生命、自由、愛の神は人類の完全な開放に寄与しています。
このデッキは、薔薇を一輪あしらった緑色の山の上の太陽が描かれていて、黄道十二宮が正確に表されています。緑の小山は豊穣な大地ですが、どの間に壁ができています。これは、契約による関係性の危険と限界を表しています。
壁の外側には二人の翼を持った子供が光の中でダンスしています。今まで何度も登場してきた双生児です。男と女、火と水、隠と陽、永遠の若さや無垢であり、二人の下にある薔薇を十字は二人が生まれ落ちた母体を表します。
二人は、人類が到達すべき次の段階を表しており、死、罪といった概念からの完全な自由を象徴しています。
クロウリーの「汝の欲する処を為せ」の意志の発動です。彼は、最も分かりやすいデッキであると表現しています。
失われたものの回復、統合の世界、一体感や喜びを分かち合う、愛の世界ですね。
○キーワード、解釈
全体性
➕ 解放、成功、繁栄、大勝利、病の回復(安楽死)、喜び、感謝、友情、達成、意識
➖ 横暴、自惚れ
20 アイオーン、永劫 原初の炎の霊

生命の樹:ホド(セフィロト8)からマルクト(セフィロト10)の小径(path)
惑星:冥王星(始点と終点、死と再生、啓示)
エレメント:火
ヘブライ文字はシンと読み、歯を意味します。アルファベットのSの起源となります。
シンは、火に関係しています。アイレスター・クロウリーが守護天使エイワスから「法の書」の啓示を受けた1904年から、世界はオシリスのアイオーンからホルスのアイオーンに移行したとされます。アイオーンは二千年が一周期ですが、その際、オシリスのアイオーンの審判が為されたという解釈です。火によるこの世の破壊ということで16番のデッキ塔からつながっています。
クロウリーの思想からすると、イシスのアイオーンは、多神教の時代、オシリスのアイオーンは、キリスト教などの一神教の時代、そして新しいホルスのアイオーンは、人間が神と化する人神教となります。
このデッキには夫婦が表れています。暗い青の影は天空の神ヌイトです。引き離されそうになった翼をもつ火の玉をして描かれている大地の神ハディトと手と足がつながっています。クロウリーはこのヌイトとハディトの子どもがホルスだと記しています。
ホルスは、ハヤブサの頭をもつ神で、中央の玉座に座っています。もう一人の児童神ホルス(半透明)は、沈黙のサインです。
カードの下には、花に見立てられたシンの文字、上部のヨッドの形の中には新しいアイオーンの神髄にふれようとする3人の姿があり、神人合一の胎児となります。
文字の後方の天秤座は更なる次のアイオーンの前兆です。
○キーワード、解釈
高次の見通し
➕ 最終決定、ターニングポイント、再誕生、未来への新しい見地、広大な見方、神人合一
➖ 産みの苦しみ、変容の前の苦難
21 ユニバース、宇宙 時の夜の大いなる者

生命の樹:イエソド(セフィロト9)からマルクト(セフィロト10)の小径(path)
惑星:土星(山羊座の支配星、天の番人、太陽系の支配者)
エレメント:地
ヘブライ文字はタウと読み、十字形、四方への拡張を意味します。
0番「愚者」の補完者(欠けているところや不十分なところを補って完全なものにすること)のデッキです。アレフとタウが合一すると、Athで本質、エッセンスとなります。達人は、大いなる業のジャーニーを無(ビック・バン)から、様々な諸相を形成し、無に終わり(ビッグ・クランチ)また、始まります。
踊る処女ヌイトの相手はデッキ19番の太陽のヘル=ラ=ハラ、彼女は、変容を表す蛇の頭に立っています。これで、変容が飼い慣らされて完結したことを示します。
光の輪が生命の樹の形態を手ほどきしており、十惑星が網の目に表されています。ホルスの目から出ている処女の手にした釜は、この網を切りさく力があります。神々の住まいとしてのパルテノン神殿が描かれています。
カードの四隅のケルビムの四聖獣は、存在に繋がりしっかりとエネルギーを吹き出して生き返っています。新しいアイオーンは充満した光をもたらし地球は鮮やかな緑色です。
デッキの表す、幸福、達成は降ってわいた幸運ではなく、大いなる業の達成です。
○キーワード、解釈
完結
➕ 完成、達成、絶頂、実現、具現化、総合、有機的な完結や自然な開花
➖ 遅延、不活発、避けられない結末